前節でお話したとおり、何件か賃貸業者(管理会社)の話を聞いてみてお任せできそうな、または自分に相性の合う管理会社が見つかったとします。 その後、管理委託契約を結びこれで一安心といったところですが、問題はお任せした管理会社が思惑通りの働きを見せてくれるかどうかです。
下記は東京都下で、ある中古1K10戸のアパートの入居率の推移です。
(当初の入居数以外はほぼ同じ条件)
管理委託当初 | 1年後 | 2年後 | 3年後 | 平均入居率 | |
管理会社A | 1戸空き | 満室 | 2戸空き | 3戸空き | 85% |
管理会社B | 1戸空き | 3戸空き | 4戸空き | 4戸空き | 70% |
管理会社C | 6戸空き | 2戸空き | 1戸空き | 1戸空き | 75% |
パっと見では管理会社Aが入居率85%で一番安定しています。
もともと当初から90%の入居率でしたから物件の素養が良かったのでしょう。ただ、最近の入居率は右肩下がりとなっています。
管理会社Bも管理を委託してから空室が増えるばかりで改善の兆しもありません。
管理会社Cは当初6戸も空きがあったにもかかわらず、2年後にはほぼ満室近くまで入居率を改善しております。
こちらの例から賃貸の客付営業力の順位を付けるとC>A>B となります。
先ずは状況を把握する。空室が決まらない原因を聞いてみる。
管理会社は時期が悪いとか、賃料が高いとかの理由をつけてくると思います。
ただ言い訳を言っている場合もあれば、正論の場合もあります。そこで、まともな管理会社であれば、「時期がオフシーズンなので敷金・礼金を安くしてみましょう」とか
「一か月分フリーレント(無料)サービスをして集客をしましょう。」
などの提案をしてくるはずです。一度は信頼をして管理を委託したわけですから、ここは一度だけ素直に従ってみましょう。インターネット広告をしている業者さんであれば、迅速に物件情報を更新しているかをチェックします。その後、最低でも月に2〜3回の業務報告をしてもらうようにします。
大事なことは黙っていないで、どんどん注文をつけることです。だって、毎月管理料を払って大事な資産を預けているわけですから。
敷金・礼金・前家賃サービスは借りる側にとっては魅力的なのでそれなりの効果はあります。
ただ、肝心の賃貸業者の営業マン達が積極的な営業をしてくれるかどうかは別問題です。
直接お客様を案内してくれるのは最前線にいる営業マンなので、彼らの喜ぶことをするべきです。
通常、賃貸業者はお部屋を仲介して成約すると、借り手から仲介手数料を1ヶ月いただきます。
そして貸し手(大家さん)からも、広告料等の名目で家賃の0.5〜1ヶ月分を頂戴することが慣習としてあります。大家さんとしては出費は少ない方がもちろんよいのですが、ここはケチる事無く普段より少し大目に広告料を支払ってでも満室にした方がよいかと思います。営業マンも売上げが上がれば給料や賞与にも影響しますので、広告料の多い物件を優先的に紹介することは当然です。
空室を早期に埋めたいときは広告料を惜しむべからずです。
上記のように管理会社の提案どおりのことをやってみて、それでも空室が決まらない場合。理由は2つです。
管理会社の営業力が無いか物件そのものに魅力が無いかです。
前者の場合は、営業力の強い管理会社に委託先を変更することも検討します。このことは期限を決めて「この日までに○室決めてくれなければ管理先を変更します。」と通告してよいと思います。
これは実例ですが、3戸の空室をかかえた、ある大家さんが5ヶ月間で1戸も決められない管理会社に業を煮やし、今月中に決められなければ管理会社を代えると通告したところ、8月という賃貸では一番決めにくい時期にもかかわらず3戸決めていただき満室になったという例もありました。
賃貸担当の営業マンも人間ですから、うるさくいわれる大家さんの物件を優先して紹介する傾向はあります。また、管理を解約されれば自分の成績にも傷がつきます。
感情的になり度が過ぎると逆効果になりますが、常に物言う大家さんであることが良い結果を生むことになります。